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Lama Lamaとは

Awwwardsをはじめ、複数の国際的なデザインアワードを受賞しているLama Lamaは、デジタルブランディングを主軸に、ネーミングからモーション、3DCG制作まで一貫して手がけるクリエイティブエージェンシーです。
特徴として、配色豊かなデザイン設計と遊び心のあるギミックを随所に取り入れている点が挙げられます。ヨーロッパ有数の世界都市であるアムステルダムを象徴するように、制作物の色彩はオープンでクリア。多配色でありながらも整理された配色は、心地よさとブランドの個性を同時に成立させています。
中でも特に注目したいのが、企業サイトに「playful」のページがあり、それを体現するかのようにほとんどの案件に遊び心のあるギミックが取り入れられている点です。
SHIFTBRAINのアートディレクターが選ぶ、Lama Lamaのイチオシ事例
事例1:Noodfonds Amsterdam

ネーミングからVI、プラットフォームの開発を行ったかなり大きなブランディングプロジェクト。このプロジェクトでは、状況や文脈に応じて形を変えるダイナミックアイデンティティを採用しているようで、ロゴはアムステルダムを象徴する「XXX(聖アンデレ十字)」やライオン(国章)といったモチーフをベースに構成されています。
特に印象的なのは、XXXの中央要素における造形です。両端が支え合うような構造は、漢字の「人」にも通じており、日本人であれば一目で意図が伝わる、まさに非言語コミュニケーションとしてデザインの力がとても活かされているプロジェクトのように感じました。都市が人を支え、人が人を支えるという、この団体の本質的な価値を、シンプルな記号の中に落とし込めている点がとても参考になります。
また、ロゴは常に一定の角度やルールを保ちながら、ハートやパターンなど多様な形態へと展開可能で、用途や文脈に応じて意味を拡張できる汎用性の高さが、このアイデンティティの強さにつながっていると感じました。
事例2:Dorst & Lesser: Social Media Agency Amsterdam

ソーシャルメディアエージェンシー「Dorst & Lesser」のコーポレートサイトですが、「We make brands human.」というステートメントの通り、ブランドを人のように振る舞う存在として捉えた設計が全体を通して徹底されているのが特徴です。テキストはSNSライクで非常に端的。説明的になりすぎず、常に1viewに収まるように設計されています。
ビジュアル面ではショート動画を想起させる画角と、動画を主体としたコンテンツ構成が特徴的です。演出の多くはSNSアイコンを想起させる“丸”を起点に設計されており、角Rの扱いや配色、モーションに至るまで、ソーシャルメディアエージェンシーとしての佇まいが一貫して感じられるトーンで統一されているところが素晴らしいです。
Lama Lamaのものづくり
今回お話を伺ったのは、シニアクリエイティブデベロッパーのTim Koreeさん。もともとは開発者として入社したそうですが、いまはデザインとモーションも手がけるハイブリッドな役割を担っているそうです。将来は日本への移住も考えているとのことで、日本語もとてもお上手でした。インタビュー中は英語と日本語を混ぜてお話しいただいたので、英語がわからないメンバーからすると、とてもありがたかったです…!

ワークショップから始まるプロジェクト設計
普段のプロジェクトは、どのように進みますか?
案件によっても異なりますが、基本的には方向性策定 → ファンクショナルデザイン → ビジュアルデザイン → 開発の4つのフェーズで進めます。
まずプロジェクトが始まると、クライアントの方向性を深く理解するために2〜4時間かけてワークショップを実施します。自己紹介やヒアリングを通じて理解を深めるだけでなく、言葉を用いたワークも行います。例えば、2つのワードを並べて、どちらに近いかを選択してもらうことで、企業のスタンスを可視化する手法も用いられています。
ワークショップの内容をもとに、複数のコンセプトや方向性を提示しながら、全体的なトンマナなどを合意形成していきます。リファレンスは普段はあまり使わず、自分たちでつくったデザインを見せながら方向性を定めていくことが多いです。このタイミングから、デザイナーやデベロッパーがトンマナや色、モーションの動き方などを考え始めます。
次に、ファンクショナルデザインフェーズでは、Webサイトの骨格を検討します。必要なセクション数・ブログ機能の有無・フォームの仕様などを決めます。ここでは競合分析やSEOの観点も取り入れて、クライアントの差別化と競争力を高める要素を検討しています。この辺りからデベロッパーも参加して、実現可能性と実際にかかりそうな工数を見積もっていきます。
ビジュアルデザインフェーズでは、デザイナーが具体的なデザインを作っていきます。
そして最後に、開発フェーズです。デベロッパーはモーション実装も主導することが多く、デザインの意図とプロジェクト全体の一貫性を保ちながら感覚的に作り上げていきます。開発フェーズは、プロジェクトで一番時間がかかることが多いです。
良いデザイン=インパクトがあるだけでは意味がない。「機能する」ことが前提
良いデザインはどのように決まると思いますか?
「シンプルであること」だと考えています。ただし、そのシンプルさには明確な条件が2つあります。一つは、「美しさと機能性を両立していること」。もう一つは、「正直であり、等身大であること」です。
視覚的にインパクトのある表現をつくることはできますが、それによってユーザーが戸惑い、使いづらさを感じてしまうのであれば意味がありません。それが良いデザインかどうかを判断する最終的な評価軸とは、クライアントのビジネスにとって本当に機能しているかどうかだと考えています。
コラボレーションを成立させるためのマネジメント
プロジェクトの成功において、大切にしていることはありますか?
Lama Lamaでは、プロジェクトにおけるコラボレーションを非常に重要視しています。戦略、デザイン、開発といった各フェーズが密接に連携しながら進むことで、アウトプットの質が高まると考えているためです。
その一方で、複数の領域が関わるプロジェクトは、リソースマネジメントの難易度が高くなります。そこで重要な役割を担うのがプロジェクトマネージャーです。彼らがチーム全体のバランスを取りながら、プロジェクトを前進させてくれています。

訪問したメンバーの感想
石塚(アートディレクター / デザイナー)
今回のアムステルダム出張において、最もSHIFTBRAINと現在地が近いと感じたスタジオとして、Lama Lamaにインタビューさせていただきました。Webサイトから受けていたエネルギッシュで軽やかな印象とは対照的に、オフィスには永井一正さんや田中一光さんのポスターが数多く並び、海外にいながら日本のデザインに触れることで、不思議と日本にいるような感覚を覚えました。
インタビューはシニアクリエイティブデベロッパーのTimさんにお話を伺いましたが、感性やものづくりに対するスタンスも非常に近く、まるで友人と話しているかのような感覚で終始リラックスした空気の中、対話することができました。まだ公開前のWebサイトを見せていただいたり制作する上での苦悩など、制作の裏側にも触れることができ、非常に刺激的な時間となりました。
特に印象的だったのは、インタビューが18:00まで続いた時点(インタビューは実際は18:30まで)で、オフィスにはすでにTimさんしかいなかったことです。しかも週休3日制と聞き、オンとオフの切り分けがかなり徹底されていると感じました。単に制度としてあるだけでなく、ちゃんと機能している感じがあって、そこは結構衝撃でした。
金(モーションデザイナー)
オフィスにお邪魔した際、玄関口にバースタンドがあり、衝撃を受けたのを覚えています。Timさんを含め、週休3日で働いている社員もいるという話を聞き、仕事と休みの切り替えがはっきりしている点や、日本よりもさらにフレキシブルな働き方を改めて認識しました。
また、オフィスに社員が集まっている点や、クライアントと直接会って仕事をすることでヒアリング内容を素早く成果物に落とし込んでいる点は、基本フルリモートで仕事をしている弊社とはすごく対照的だったのを覚えています。Timさんは開発とデザインを両方こなす稀有な存在で、それだけでもすごいことなのに、さらに日本語を勉強されていました。インタビュー中も日本語を使ってくださり、最後まで円滑にお話に付き合ってくださって、感謝しています。
岡田(プロデューサー)
今回のLama Lamaへのインタビューで一番印象に残っているのは、スタジオ全体に流れていたフレンドリーな空気感です。
オフィスはアムステルダム中心部から少し離れた落ち着いたエリアにありました。中に入ると、まず雰囲気の良いバースペースが広がっていて、その奥に執務スペースがあるという、少しユニークなつくりのオフィスでした。
インタビューではシニアクリエイティブデベロッパーのTimさんにお話を伺ったのですが、日本語がとても上手で、こちらの質問にも一つひとつ丁寧に答えてくださいました。まだ24歳と聞いて驚きましたが、年齢以上に落ち着きがあり、まるで友人と話しているような感覚で、終始リラックスしてお話を伺うことができました。
また、インタビューに参加いただいた方だけでなく、オフィスにいた他のメンバーの皆さんも自然に声をかけてくださり、チーム全体で温かく迎えていただいた感覚がありました。訪問中には、コンブチャのような炭酸飲料(スーパーで売っていたので有名らしい)や現地のお菓子も出していただいたのですが、それがとても美味しくて、そうした小さなおもてなしも含めて、フレンドリーな雰囲気を感じました。
働き方の面でも印象に残ったことがあります。僕たちが訪問したのは夕方頃でしたが、18時を過ぎる頃にはほとんどのメンバーが退社されていて、オフィスにはTimさんだけが残っている状態でした。後から伺うと、集中して働き、残業はほとんどしないスタイルとのこと。忙しい時期もあるそうですが、オンとオフの切り分けを大切にしながら働く文化が、ちゃんと日常の中に根付いているように感じました。
そして個人的にとても記憶に残っているのが、帰り際のシーンです。オフィスを出たあと、Timさんがバイクに乗りながらこちらに手を振って挨拶してくれました。ほんの一瞬の出来事でしたが、その自然な温かさが、今回のLama Lamaへの訪問を象徴しているように感じました。
クリエイティブの話はもちろん、人としての距離の近さや、自然体のホスピタリティまで感じられる、とても温かいインタビューでした。
坪井(プロジェクトマネージャー)
Lama Lamaは今回インタビューした会社の中で唯一、オランダ現地の人たちだけで構成されたエージェンシーでした。他のエージェンシーのメンバーは多国籍でクライアントも国際的なところが多い中で、Lama Lamaはオランダに根差したビジネスを展開しているのが特徴だと思いました。
オフィスには日本のポスターがいくつか飾ってあり、なんだか親しみを感じました。

さいごに
「良いものを作る」という言葉の裏には、チームの思想や構造がありました。Timさんの話からは、クリエイティブを成立させるには、感覚だけでなく、戦略やプロセス、チームの連携が欠かせないことを改めて感じました。
このシリーズでは引き続き、オランダのクリエイティブの現場で出会った考え方を紹介していきます。
次回紹介するのは、アムステルダムのAntinomyと27b。お楽しみに!

