「推し活」と「危機感」から飛び込んだ受講生たち。その先で直面した本気の課題とは?
まずはコースを受講した理由を一言で教えて下さい。
菅原: 参加した理由を一言で言うなら、まさに「推し活」ですね。Shhh inc.さんのサイトなど、自分が単純に好きなサイトを作っている宇都宮さんの名前を目にすることが多くて。自分の境遇としてもコンセプトメイキングや細部までの磨きあげに課題を感じていたので、憧れている方に教わりたいと思い、受講を決めました。

岩澤: 私は8年ほど勤めた制作会社を先日退職し、今は転職活動中です。参加理由を一言で言うと、「今のままじゃやばいぞ、自分」という危機感です。会社では頼りにされることもありましたが、自分のデザイン力は伸び悩んでいました。今のかりそめの偽物の状態で評価され続けてたらダメになるという焦りから、外に一歩出たいという気持ちもあり、勇気を出して応募しました。
中村: 伸び悩みという悩み、皆さんやっぱり抱えてるんですかね。僕らもクリエイティブクラスを始めた時に、会社に所属したりフリーランスだったりするけど、追いかける背中が近くにいない人にはニーズがあるだろうなと考えていたので、まさにズバリという感じですね。
実際に受講されてみて、想像していた内容と最もギャップを感じた点、あるいは想像以上だった点は何でしょうか?
【コース概要】
宇都宮コース「デザインの「入口」と「出口」を鍛える、頭・手・目の実践」
実在する有名ブランドをリブランディングすることを全体課題とした実践型コース。3ヶ月かけて「入口」となるマクロな構想力と「出口」となるミクロの審美眼を、体系的に鍛え上げるセッション構成となっている。
菅原: コース全体のクオリティが高かったことはもちろんですが、特に想像以上だったのは、課題の形式です。何を求められているかを自分で解釈して進めるスタイルで、より多くのものを学べた感覚がありました。余白があることで普段の自分の進め方とは違うアプローチを実践してみる場にもなったかなーと思います。
中村: なるほど。岩澤さんもすごい頷いていましたけど、同じような感想ですか?
岩澤: はい、よく分かります。受け取り手次第でどうとでもできるというか、そのベクトルが人それぞれあると思うんです。「ああしろ」「こうしろ」じゃなくて「こういう視点がありますよ」というスタンスだったので、汲み取らないといけない難しさはありつつも、いろんな可能性を感じるカリキュラムだったなと思います。ただ、私は正直、おしゃれでいい感じのものを作れるとふわっと考えてたので、「どうしよう、場違いだったかも!」とビビりまくったのを覚えています(笑)。

宇都宮:ガイダンスの時に全体の課題設計の話をしたんですよ。その時に「あ、これはガチだぞ」って皆さん多分思ったんじゃないかな(笑)
菅原:ガイダンスで提示された「本コースの4つの原則」の1つが「覚悟を決めてコミットする」というもので、それを聞いた時に改めて覚悟を決めなきゃダメだと思いましたね。
中村:推しの言葉ですからねー。一番初めにもうマインドセットを作ってしまうということですよね。
岩澤: 「逃げられないな、これは」と思いましたね。課題としてピックアップされたブランドも、世界的大企業で「小手先では通用しない」ものだったので、リサーチなどしっかり取り組んでこなかった領域に踏み込めたのも、すごい良かったなと思います。

評価を保留し続ける。完成度ではなく、その人ならではの視点を磨き上げる「超属人性」の裏側。
マスターである宇都宮さんにとって、このコース設計で「ここは絶対外さない」と意識していたポイントは何でしょうか?
宇都宮: フィードバックのポイントとして、大きく2つ決めていたことがあります。1つは、このコースは多様な視点でものを見る・考えるというところをテーマにしていたので「答えは言わない」ということです。「こうすればいい」という回答はディレクションになってしまうので、「こういう選択肢もありえる」という可能性を伝えることを意識していました。

宇都宮:もう1つが、自分は今回のコースでは完成度は大事なポイントとして設定していなかったので、「できてる・できてない」よりも「その人ならではの視点や考えがあるか」という点を積極的に評価してフィードバックしていました。そして、その評価のポイントはなるべく皆さん(受講生)の前で強調して何度も言うようにしていました。
中村: その「みんなの前で強調して何度も言う」というのは、ボディブローのようにじわじわ効きますよね。
菅原: ひとりひとりにフィードバックをされてるんですけど、みんなに言ってるんだろうなと感じるところはあって、それはすごい勉強になりました。
他の学びの場と比較して、「CREATIVE CLASS」が異なると感じる部分はどんな点ですか?
岩澤: 他のスクールを受けたことがないので正直分からないところもあるんですけど、やはり「超属人性」というか、その人にしか生まれない学びがあるという点です。あとは、人数がちょうどよく、密度が濃かった点です。
中村:人数に関しては10人って結構早めに決めたんですよ。価値を維持するにはこれぐらいが限界だろうな、というのは構想の中であって。宇都宮さんは人数についてはどうでした?
宇都宮: 今回良かったことの1つがこの10人という少人数制ですよね。この「閉じられている密室感」がすごく良いなと思ったんですよ。20人だと閉じられてはいるけれど少し散漫になるし、5人だとあまりにも圧が強いので、10人というバランス感が、選択と集中を促し、密度を高めたと思っています。「この10人にしか話さないぞ」という意識で、出し惜しみせず話すことができました。
中村: 「この10人にしか話さないぞ」は受講生にとってもありがたいですよね。宇都宮さんご自身も「”教えることは教わることだ”を体感した」という内容をXに投稿されてたかと思いますが、具体的にはどういうことを感じましたか?
宇都宮: そうですね。シンプルに言うと「人の成長や可能性って本当にわからない」というのをすごく体感しました。2週間ごとに皆さんがすごく進化していく。なので、相手の評価を保留し続けるというか、特定の側面だけを見て簡単に決めつけない慎重さが必要だと教わりましたね。
中村: 言葉選びがかっこいいなー。「評価を保留し続ける」って太字にしておきますね(笑)。宇都宮さんの言葉って、少しだけこう心にとめておきたい引っかかりみたいなものが必ずあるじゃないですか。それがデザインと一緒に入ってくるのが美しくていいなと思って。
岩澤: わかります。私も今回、宇都宮さんの言葉選びにすごく感銘を受けました。あらゆる方面に配慮してたり、思慮深さがあったり、違和感なくすっと入ってくる言葉が、デザインやリサーチ以前に勉強になるというか。「こんな大人になりたい」という憧れがしっかり自分の中で醸成されたのは、良い影響になってくると思いますね。
菅原: 考えているプロセスとかは全部会話にも出ると思っていて。フィードバックでの話し方とか話す順序といった言動からも宇都宮さんの制作に対する考え方にも触れられたので、得られるものが多かったです。
中村:印象に残ってる宇都宮さんの言葉はありますか?
菅原:コンセプトを作っていくフェーズの時にいただいた「現実のブランドもこうあって欲しいくらいいいね」という言葉ですね。実はそのコンセプトってその前の課題の宇都宮さんから一つの視点として「こんな考え方もできるんじゃない?」というフィードバックをいただいた箇所で。基本的にはCREATIVE CLASSって一人での制作時間が多いと思うんですけど、他者の意見を自分の中に落とし込んで制作物に昇華させていく実務寄りの体験を宇都宮さんとできたっていうのが貴重で、純粋に嬉しかったですね。
宇都宮:なんか菅原さんの課題は一緒に作った感がちょっとあるんですよね。特にコンセプトメイキング以降は。
中村:なるほど。宇都宮さんから見て、マスターに限らず、受講生同士でも影響受けて、相互作用で発展していってるなーと感じる部分はありましたか?
宇都宮:それは毎回ありましたよね。同じブランドを選んでもまとめ方も論理の積み重ね方もみなさん違うので。やっぱり一度に10人分のアウトプットを見れるってすごいことだと思うんですよ。それだけ多様な視点がその場で得られるということですからね。

すぐ変われない自分を責めなくていい。「変化の過程」を楽しみながら、クリエイターとして成長し続ける。
コースで得たスキルやマインドセットを実務に活かせた、あるいは今後の活動に活かしていこうと感じることはありますか?
菅原: 制作において自分のアイデアを制作物に乗せるというところがすごく変わりました。今までは文脈的な最適解を重視し、自分の思考をノイズとして排除することもありました。でも、コースを受講して、自分のアイデアと正解は両立できると考えるようになり、自分のアイデアを乗せていくプロセスを意識して取り組むようになりました。
岩澤: コースを受ける前はこれを受けたらデザインがうまくなるかも!みたいな気持ちで受講したんですけど、実際は最終課題でやりきれなくて自分のできなさに絶望したんですよね。ただ、宇都宮さんの「今できてる・できてないよりも、前より一つずつ着実に進めてるか」が大事だという言葉に傷を癒していく感覚があって「すぐ変われない自分を責めなくていい」と思えるようになりました。宇都宮さんの言葉には単なるテクニックではなく人生観のような深さがあって、今自分にあるものを大事にして積み上げていくしかないんだという思いでこれから頑張っていきたいなという気持ちです。
中村: なんか羨ましいですね。仕事の内容や考え方がアップデートされれば、人生ちょっと変わっちゃうと思うんですよね。いくつになっても学びを感じられて、人生を変えていけるのはこの先もずっと楽しいなと思いますよね。
もし、このコースをもう一度やるとして、宇都宮さんはどのような人に来てほしい、あるいは来ると面白いと感じますか?
宇都宮: 「こうじゃなきゃいけない」という考えに縛られがちな方です。デザイナーはこうあるべき、提案はロジカルであるべき、など、無意識な縛りのようなものに苦しんでいる方が多い。私は属人性をすごく意識しているので、その人だからこその視点や強みが活かされてこそ表現に価値が宿ります。このクラスは、そうした縛りを解放していくきっかけになり、自分の仕事がもっと楽しくなり、自分自身と表現が紐づいてくる感覚を得られるはずです。
中村: ありがとうございます。では最後に、これからコース受講を検討している方へ、一言メッセージをお願いします!
菅原: 僕は本当にこの講座を受けて良かったと感じています。宇都宮さんを初め、川添さん、中村さん、そして岩澤さんを初めとする受講生の方々の、やる気に満ち溢れた姿を見て、やっぱり触発されたので、皆さんに本当にありがとうございますという気持ちですね。
岩澤:社内で叱ってくれる人がいなくなっちゃったり、自分で自分を律するしか保てなくてどうしよう、という迷いや不安を抱えてる方いっぱいいらっしゃると思ってて。応募したいという気持ちが芽生えた時点で、多分もう決まってるというか、必然性があるのかなと。ピンと来たら、もう飛び込んじゃって大丈夫だと思います。
宇都宮: やっぱり、スクールなので失敗できるっていうのはすごいいいことだなって思ってるんですよね。そこから学べることが一番大きい。自分だけじゃなくてみんなの失敗も含めて、自分はどう変わっていくかという過程を楽しむのも、長い人生の1つの時期として持ってもらっても良いんじゃないかと思いますね。そして、皆さんがこうやって高い熱量でお話をしてくださってるのは、やっぱりこの期間、高い集中力を持ってコミットしたからなんです。失敗はできるけれど、覚悟を持ってコミットして真剣に取り組むということをしていくと、自分自身の変化や、これからの人生のヒントみたいなものも含めて短期間で得られるものはすごいあるんじゃないかなと思っています。

中村: ありがとうございます。これからも憧れのマスターたちのコースは続々と開講されますので、今後もCREATIVE CLASSに注目してもらえればですね。もし宇都宮コースを受講したい方からの問い合わせがたくさん来れば、シーズン2があるかもしれませんのでその時はまたよろしくお願いします!(笑)
まとめ
「自分はどう変わっていくかという過程を楽しむ」。宇都宮さんの言葉通り、この3ヶ月はお二人にとって、人生観そのものをアップデートする期間となりました。
「CREATIVE CLASS」は、一方的に「正解」を教わる場所ではありません。第一線で活躍するマスターが何を考え、どこを見ているのかという「観点」を直接受け取り、自分の中に落とし込んでいく場所です。さらに、自分だけでなく共に歩む仲間のアウトプットと、それに対するフィードバックを同時に浴びることで、一人では到底辿り着けないほどクリエイティブの引き出しが広がっていく。そんな濃密な体験が待っています。
一歩外の世界へ踏み出すことは、誰にとっても怖いものです。しかし、この場所には、失敗を許容し、本気で向き合った人にしか見えない景色があります。必要なのは完璧なスキルではなく、「やってみよう」というほんの少しの勇気だけです。勇気を持って踏み出した一歩の先に、一生モノの視点と仲間が待っているはずです。
現在募集中のコースについては、CREATIVE CLASSの公式サイトでご確認ください。
