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1. 百様図|大丸松坂屋百貨店

この7月、特にSNSを賑わせていたのがこちら。大丸松坂屋百貨店の新しいVI「百様図」の特設サイトです。百様図とは「さまざまな模様が生まれる百様の価値観をかたちにしたもの」なのですが、この言葉だけだと掴みにくいものを、まるで飛び出す絵本のように、分かりやすく体感できるようになっているのがポイントです。リズミカルな音楽、フィジカルさを感じてしまう紙の手触り感と擦れる音。心がはずむオノマトペたち。そして最後の「いち、にの、じゃんじゃん、で文化がはじまる。」というコピーには感動すら覚えます。
ビジュアル・アイデンティティを絵本のように、わかりやすく楽しく伝える。これはmountさんでないとできないことですね。と、ここまで言葉で書き連ねるよりも、上の画像からサイトに飛んでいただくのが早いので、まだの方はぜひ。
Client 株式会社 大丸松坂屋百貨店
Creative Direction 三澤 遥+日本デザインセンター @MisawaDesign
Art Direction, Planning, Sound Design 林 英和(mount inc.)
Technical Direction, Planning, Development 岡部 健二(mount inc.)@kenjiokabe
Design 山﨑 末鈴(mount inc.)@mrnymsk_
Development 寺田 奈々(mount inc.) 山下 亜加里(mount inc.)@luce__akr
Produce 吉田 耕(mount inc.)
Project Management, Information Architecture 仲橋 祥子(mount inc.)
Copy Writing 長瀬 香子(日本デザインセンター)
Pattern Design 佐々木 耕平(日本デザインセンター) 山口 敏生(日本デザインセンター)
Photo 北村 圭介
Retouching 釼持 孔明
Design Management 曽根 良恵(日本デザインセンター)
2. Changer Capital ANRI

なんといっても、スクロールで回転する3Dロゴのインパクトですよね。新ビジョン「圧倒的未来」に基づいて、見えない未来に対して自由に変容できる器としての「Crucible(るつぼ)」がコンセプトのこのロゴ、特定の角度でのみ”ANRI”の4文字が浮かび上がるようになっていて、まさに「変容するアイデンティティ」を体現しているものになっています。
そしてこの変容性が、しっかりウェブサイトで体感できるようになっているところがまたすごいわけです。スクロールの度に回転しながら、マテリアルも変容していくダイナミズムを、トップページで理解できる。kernさんが制作した変容する3Dロゴ×その変容性をあますことなく体現できるFuntechさんのマッチングが素晴らしいサイトでした。
WORK[ANRI] “圧倒的未来”を起業家と共に実現するChangerCapital、ANRI社のコーポレートサイトリニューアルを担当しました
ANRI | WORKS | kern inc. 2025 ・ CORPORATE IDENTITY kern.inc
[Client] ANRI INC. @ANRI_VC@Anrit
[Branding & Creative Direction]
NEWPEACE Inc.
-Creative Director Shimpei Takagi @Shimpe1 –
Project Manager Natsue Hatano
[Logo & Visual Identity]
kern inc. @by_kern
-Art Director / Designer Takaya Ohta @198Q
-Designer Rin Koshiba
[Web & Motion]
FunTech, Inc. @funtech_inc
-Art Director / Web Planner OHTA Yoshitaka @yoshi15_funtech
-Designer / Motion Designer KARIYA Yuya @pon_design_
-Technical Directer / Developer HASHIMOTO Takuma @tkm_hmng8
-3D Motion Designer Terence Philippe de vries
[Video Creation]
Hybrid Factory Inc.
-Executive Director/Producer Seigo Furuta
-Producer Keisuke Nakagawa
-Production Coordinator Noritaka Kawashima
Metasix inc.
-Technical Director Tomohiro Hidaka
-Camera Operator Daiju Nakajima
-Camera Operator Tomoya Yanata
-Audio Engineer Takayuki Anzawa
[Photography]
-Photographer Hiroyuki Takenouchi
-Hair & Makeup Artist natsuo
3. 日進化成

日進化成のスタッフさんであろうキャラクターたちがうきうき歩いていくアニメーションが可愛くて、それだけで心掴まれる。それがこの日進化成のサイトです。まるで社内報のような事業領域のデザインに、大きな吹き出しだったことが分かる白い背景の見せ方も鮮やか。そしてリクルートページのデザインがまたいいんです……。見てください、対象者インタビューにおいて、人物の写真を出さず、イラストひとつでここまで存在感やリアリティを出せるとは……まさにキャラクターの真価発揮というところでしょうか。サイト制作を担当したNEWTOWNさんは、イラストを使った名刺をサンプルでクライアントに差し上げていたようですが、このクオリティも秀逸。
制作:NEWTOWN & @nakano_design
イラスト:イーゴン @egon_tweet
リクルートページのデザイン:ゆうご @suko_hakumai
トップページのロゴアニメーション:Ayuka @a_Diary____
写真:山本大
4. 3rd inc.

平体がかった明朝体。バラエティに富んだあらゆるトーンの写真とその多様な表現。”穴あき文章” 的見せ方をそのままレイアウトとして活かした、トップの頭と後ろに入るボディコピー。随所に現れる特徴的なアニメーション表現。落ち着いたトーンと見せかけて、使用されるカラーやレイアウト、モーションなど、所々に斬新な表現が出てきます。テーマが「普遍の変化」で、サイトでは堅実さの中に驚きのある表現を目指したのだとか。仰々しいのではなく、静けさの中で燃える炎のような、静かなるインパクトを放っているサイトでした。
Client 3rd Inc.
Creative Direction, Art Direction 林 英和(mount inc.)
Technical Direction 岡部 健二(mount inc.)@kenjiokabe
Design, Planning, Information Architect 渡辺 俊(mount inc.)@ws0606
Development 須多 望(mount inc.)
Produce 吉田 耕(mount inc.)
Project Management, Information Architect 湊 さおり(Nauts)@saori_minato
Copywriting 渡辺 潤平(渡辺潤平社)
Edit, Writing (STORY) 小山 和之(weaving inc.)@kkzyk
Photography 嶌村 吉祥丸 @kissh28
5. 田中理恵公式サイト

元体操選手の田中理恵さんのサイト。まずMVにおける、田中さんの出自を伝えるかのような演技と動きがスタイリッシュです。Latest WORKSの見せ方も工夫されているし、自己紹介である英文はローマ字読み。こういうところから、田中さんの人となりが伝わってきますね。
特徴的なのはWORKSで、こういった芸能関連のサイトでは珍しく、田中さんが出演している番組や仕事が、彼女自身の言葉できちんと紹介されているし、「TEAM RIE」では、田中さんといつも一緒に仕事をしているメンバーまで紹介されていて、田中さんとの具体的な仕事のイメージができる。
どれもがまさに田中さんのお仕事を獲得していくためのウェブサイトとして機能しているんですね。彼女自身の意気込みも感じられるだけでなく、そこがいわゆる芸能関係のサイトと一線を画しているところだと感じました。
6. 虎ノ門広告祭公式サイト

モバイルファーストでの制作だと思うのですが、一見そう感じさせない画面づくりが秀逸です。アナログなタッチのキャッチコピー、ロゴの目玉がマウスストーカーだったり、その”目玉”がSPだとメニューボタンになっていたり、ひとつひとつの見せ方、ギミックが飽きさせない作りになっています。今あえて広告について考えるのもまた面白いなぁと思ったのですが、よく見ると”虎ノ門”と”広告祭”の間に「あえて」って入ってますね(笑)。面白そうなイベントです!
AD/CD:佐野研二郎
AD/Graphic Design:香取有美
Copywriting:太田恵美
7. ium

ミニマルで落ち着いた画面設計の「静」と、ザッピング的に見ていける実績表示の「動」とのコントラストが印象的です。各種メニューも「付箋」というシンプルさですが、付箋を貼ったままザッピングしたときのギャップも面白い。また、各実績テキストに連番が貼ってあるのですが、これが進行中、プライベートワークも含めた「iumのすべての仕事」の数になっており、この量の多さに圧倒されます。進行中案件が掲載されているのも新鮮。
それにしてもこのサイト、ひとつの仕事を「一行で簡潔に表現できる美しさ」と、「一行で言い表すことなどできない気持ちの表れ」の両極性がこのインターフェース表現になっているようにも感じました。
CD, AD, Design:小玉千陽(ium inc.)
Front-end Development:池田亮(devdev inc.)、下村晋一(5ive Inc.)
Editor:醍醐蕗子(ium inc.)
Copywriter:出川光(Nombre.LLC)
8. SmartHR 10th Anniversary|人が、社会が、本当に欲しいもの

SmartHRがサービス10周年ということで「これまでの10年」と「これからの10年」の紹介とともに、新サービスビジョン「worker-friendly」を公開しています。SmartHRには色におけるガイドラインがあるのですが、ここでは”Primary Brand Color”である「SmartHR Blue」だけではなく、”Extended Colors”と呼ばれる各種カラーも積極的に使われ、そのカラーバリエーションの新鮮さが未来のSmartHRの表現となっているように思います。
あらゆるサービスや商品が存在する世の中で、自分が手に取っているものが本当に欲しいものかも分からなくなってきている中、この「人が、社会が、本当に欲しいもの」というコピーがとても新鮮に響きますね。SmartHRの存在意義が伝わってくる、素敵なコピーです。
クライアント: SmartHR
クリエイティブディレクター:沖山 直子(SmartHR)
プランナー:中澤 茉里(SmartHR) / 及川 悠太(SmartHR) / 今井 雄紀(ツドイ) / 野路 学(ツドイ)
コピーライター:中澤 茉里(SmartHR)
ディレクター:渡邊 慶将(SmartHR) / 今井 大介(SmartHR)
PM・ディレクター(Web):横山 幸之輔(トルク)
アートディレクター(Graphic/Web):沖山 直子(SmartHR) / 廣瀬 康平(SmartHR)
アートディレクター(Web):阪口 卓也(トルク)
デザイナー:徳地 美希(SmartHR)
Webデザイナー:阪口 卓也(トルク) / マルシア セティアワン(トルク) テクニカルディレクター:稲森 剛(SmartHR)
フロントエンドエンジニア・アクセシビリティ:堀江 哲郎(トルク)
編集者:今井 雄紀(ツドイ) / 野路 学(ツドイ)
編集進行:久保 岳志(ツドイ)
撮影:小池 大介(Freelance) / 持田 薫(Freelance)
取材・執筆:水沢 環(Freelance) / 安岡 晴香(Freelance)
9. エスプロ

クリエイティブプロダクションのサイトですが、サイト自体が動画編集ツールの編集画面のようになっていて、実際にエスプロの実績である映像の一部をユーザーが編集できるようになっている。映像を編集する行為によって実績そのものを伝えていくこともできる上に、映像制作そのものを体験できるという、一種の”メタ的”なウェブサイトになっているところが面白いですね。
CREDIT
DESIGN: Tetsuro Shimura
PRODUCE:Kento Inada
PROGRAMMING : UNIBA
COPY WRITING:Ryoko Tsuchiya
10. HAKUJUJI

「愛ある人てま」のコピーが好きです。ランダムに切り替わるコピーと写真にも日常の小さな嬉しさが詰まっていますね。いいなと思ったのが「発売スケジュール」機能。どんどん発表されていくお菓子とそのスケジュールを眺めているだけでも楽しく、具体的に商品が欲しくなるとっかかりになる。HAKUJUJIさんが新しいお菓子を定期的に出していることも伝わってきます。
「愛ある人てま」説明文の過剰性も「人てま」を大切にしていることの表れとして伝わってきます。商品ひとつひとつにコピーがあったり、店舗ひとつひとつにコメントがあるのも愛らしい。やっぱり「愛ある人てま」のコピーに全てが集約されている気がします。
おわりです!
2025年7月のまとめサイト、いかがでしたでしょうか。
今回のサイトの中でいくつかピックアップしてみますと、
・「百様図」のVIを絵本のようにわかりやすく伝えていく方法論。VIという文脈が多く存在するものにこそ、こういう手法が必要なのかも。
・「ANRI」の変容するロゴとその再現性。
・「田中理恵公式サイト」のビジネスとして機能させるためのサイト。
・「ium」の静と動のコントラストの中に現れる企業の精神性。
・「HAKUJUJI」の発売スケジュールで商品への関心を高める方法。
が印象に残りました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
また、来月お目にかかりましょう。良い夏を。
iDIDメディア編集部でした!