目次
1. 原口沙輔

音楽プロデューサー、ボカロPでありトラックメイカーである原口沙輔さんのポートフォリオサイト。心地よい音と同期したデジタルな線を背景に、タイプライター的に羅列されていく歌詞。この「デジタル感」と言葉による「エモーショナル感」のバランスが絶妙です。言葉によりすぎず、音によりすぎない「作家の世界観」を浮き立たせている。その世界観は、リズミカルなニュースセクション、漢字で構成されたUI、実績タイトルで構成された腕のアスキーアートにも表出しており、楽曲タイトルをホバーすると現れる歌詞とカーブを描く線もまた、エモーショナル&デジタル。
アウトプットだけではなく、背景にあるテーマ性を練ることで作家自身の世界観を表出させているところが、このポートフォリオサイトを他にはないポートフォリオサイトたらしめていると思いました。
制作:itoh
2. Homunculus Inc.

ホムンクルスさんからすごいサイトが出てきました。ホムンクルス=人工生命体であり、人工生命体をウェブサイトのフィールドで錬成したものになっています。
左右には「指針」「由来」「姿勢」という「会社の思想やものづくりの姿勢に触れるためのインターフェース」があり、それぞれについて人工生命体がしゃべってくれるところも面白いですね。コーポレートサイトでありながら実験的。演出を超えた深い体験型サイトですね。
制作:homunculus Inc.
3. KEI inc.

Shhhの宇都宮さんが独立とともに設立したデザイン会社KEIのコーポレートサイト。器に現れた不完全さや修復の跡を茶道や陶芸の世界では「景色」と呼んで愛でており、そこから「KEI」と名付けたそうで、伝えたいことを「情報」ではなく「景色」としてデザインしていくというところ、Shhhから続いている宇都宮さんの哲学的視点が垣間見えます。
KEIのサイト全体から見て取れるのも「情報」よりも「眺め」、「分かる」よりも「感じること」です。大胆な余白や穏やかなモーションによって、情報を読むのではなく、ブランドの思想や空気感を味わうような閲覧体験を生み出しています。そして、50歳で会社を立ち上げたことへの想い。宇都宮さんの感受性が垣間見える「景の源泉」もぜひ。
Direction, Art Direction, Design:宇都宮 勝晃(KEI inc.)
Photography: 本多 康司
Development:坂田 一馬(Good rings)
4. Nauts Event #01

Nautsが開催するイベントの告知サイトなのですが、さすがNauts!な仕上がりになってます。普通にサイトを閲覧していくことも可能ですが、カメラモードにするとまた驚きが。閲覧者自身の顔や手を使って、サイトに直接さわることができます(言っていることがよく分からないかもしれませんが本当です)。
このコンテンツ体験感が、イベントもきっと面白いであろうと想像させてくれますよね。「コンテンツ理解」と「コンテンツ体験」が共存しているところも面白く、ユーザーに優しいサイトとも言えますよね。
Design:Hidetoshi Hara(Sunny Inc.)
Development:Ryou Ikeda(devdev Inc.)
5. QO 採用サイト|突破Q

人と社会のために問いを探究するリサーチとプランニングの会社、QOの採用サイト。ビリヤードボールのようなものをトン、と落とすだけで、見ている側の正面にあるはずのウェブ画面が「上から俯瞰した画面」へと立体的に変化するところに驚きます。
スクロールするとボールが棒をはじき、その下からコンテンツが現れます。「問いを転がすと突破口が見えてくる」ことにかかっているわけですね。最後にはしっかりと丸い枠にボールが収まるところもいい。コンテンツ以前の「アイディア」に説得力があると感じたサイトです。
6. こどもウェルネスジム UGOKKO
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こども向けウェルネスジム「UGOKKO」のブランドサイト。「うごジム」「うごモグ」「うごネム」など、5つのプログラムを「UGOKKOフレンズ」としてキャラクター化しています。モンブランさんらしいのは、このUGOKKOフレンズをグラフィックで終わらせるのではなく、手触り感のあるパペットまで作り上げるところ。アナログ/デジタルというふたつの世界が折り重なり、より深い世界観を感じられる体験になっています。
また、これらのキャラクターを主人公にするのではなく、「主人公は子どもたち」であり「キャラクターは相棒」である、というコンセプトの組み立て方が、またらしいなと感じました。サイトのどのコンテンツも血が通っている。ブランディングの副音声もぜひチェックですよ。
制作:株式会社モンブラン
ディレクション:竹田京司
プランナー・コピーライター:福永あずさ
プランナー・グラフィックデザイン:平野由記(ウフラボ)
スチール撮影・動画撮影:内村友造
動画制作:高木玲良
イラスト制作:アプアロット
WEBデザイン:松原史典
サイト構築/CMS構築:江藤覚
パペット制作:BRYS濱近様の奥様
7. TILToooTILT

toteさんの最新自主制作がリリースされました。様々なカルチャーがミックスされた、エクスペリメンタルでオルタナティブな世界観が鮮烈。テーマは「F = mg」で、なんと、この世界にあるすべてのものに重さがあるのです。サイトのタイトルにある「TILT」とは「傾き」のことで、左右にスクロールすると、オブジェクトの質量によって、動くスピードが違います。
デザインを担当した谷井さんいわく、「全18オブジェクトに対して、質量や摩擦係数などをスプレッドシートで無駄に細かく動きの設定管理している」のだとか。中の人が好きなのは、計量器をクリックしたときの、音楽に合わせて踊り出すスーパースター&回転するオブジェクトたちです。
制作:tote inc.
8. 熱血硬派くにおくん

好きな人にはたまらない熱血硬派くにおくんのオフィシャルポータルサイト。Re:designさんのつくるサイトには「節」があって、そこにいつも驚きがあります。それはブランドを理解した上で実装されるモーション、ギミックなどに顕著で、今回で言うと、ローディングの見せ方。FVのゲーム擬似体験。各セクションを彩る過去のゲーム画像。キャラクター紹介でのホバーアクションとモーダルの見せ方などです。
また、くにおくんは基本横スクロール型のゲームであり、それがサイトにおける縦スクロールとうまく調和されているところもポイントだと感じました。
制作:株式会社アールイーデザイン
CD:渡辺 祐樹
AD / De:清水 大蔵
Dir:瀬谷 百加
Dev:瀧口 裕矢
9. Kenichi Aikawa

フォトグラファーのKenichi Aikawaさんのポートフォリオサイト。3つのカテゴリを円と捉えた、回転型のオブジェクト表現が美しい。そしてそれを支えているのが、ミニマルで機能的なUI。3つのカテゴリをスムーズに閲覧・回遊できるよう、佇まいはミニマルなまま、機能だけが必要に応じて姿を変えていきます。
TOPやカテゴリTOPではマウスの動きに応じて表情が変わり、カテゴリTOPのやわらかく立体的なインタラクションも心地よい。写真の魅力を引き立てる体験設計が印象に残りました。
Agency: Garden Eight
Design & Development:Nobuaki Honma
10. HASEKO 2050 Room Tour

長谷工が描く2050年の住まいを、縦型ショート動画の「ルームツアー」で見せる「HASEKO 2050」のサイト。全コンテンツをショート動画的スマホネイティブな動画体験にしているところがポイントですね。
堅くなりがちな企業の未来構想を「内見動画」という見慣れた形式に落とし込むことで、未来の住宅に現実的なリアリティを持たせています。実在のルームツアー系インフルエンサーを起用しているのもポイントが高いです。
制作:TWOTONE INC.
Produce:Ryuta Modeki
Art Direction:Yasunori Kadokura
UI Design:Yui Kurumazaki
Motion Design:Ken Hirose
Motion Design:Atsuya Ikeda
Project Management:Maiko Nishiura
Front-End Engineering:Kentaro Mito(armsnox Inc.)
11. Dots. by GEEK PICTURES

クリエイティブプロデュースユニットDots.のサイト。ユニット名である「Dots=点」をサイト全体の世界観と体験性へ昇華しているところが面白いですね。
FVではあらゆる点が有機的につながっていく様を。点で構成されたテキストや画像からは、点からつくられる世界を。Project一覧や詳細ページではリスト機能としての点を各々表現しています。「点」というモチーフが、ページごとに異なる役割を持ちながら、ひとつのブランド体験として機能しています。
Art Director / Designer:Hirofumi Nakagawa (ANDMADE Inc. / Nauts™)
Creative Developer:Masayuki Daijima (Calmhectic inc. / Nauts™)
おわりです!
2026年6月の気になるサイトまとめ、いかがでしたでしょうか。今月は「情報を読む」より「感じる・さわる・体験する」方向にデザインが振れたサイトが目立ち、ブランドの思想や世界観をいかに体感してもらうか、各社の工夫が光っていました。大胆な余白で佇まいを味わわせるものから、顔や手で直接ふれられるもの、質量まで作り込まれたものまで、表現の幅広さそのものが今月の面白さだったように思います。
次回は7月のサイトまとめ記事です。本格的な夏の到来、みなさま暑さに負けず、水分補給を忘れずお過ごしください。ではまた、iDIDメディア編集部でした!
