目次
1. unpis

unpisさんのイラストレーションにはいつもユーレカ!的な「しかけ」がありますが、このunpisさんのポートフォリオサイトにおいても「しかけ」の面白さがウェブならではの手法で展開されています。MVはさながら「しかけ絵本」で、クリックやドラッグで「しかけの答え」が分かるようになっている。他にもスクロールで踊る「TOPに戻るキャラ」やダークモードにしてくれるキャラアイコンなど、ウェブの機能性とunpisさんのしかけが見事に融合。作家と制作ががっぷり四つに組んだサイトは、 やっぱり面白いものになるんだな!と感じたサイトでした。
Illustration: unpis @unpispeace
Art Direction, Design: Takumi Abe @rhytkm
Technical Direction, Engineering: Yusaku Kimura @Mode815
Special Thanks: Ayumi Takagi
Produce: TANGRAM
2. SOIL

罫線がモチーフのみならず「主体」となってサイト全体を引っ張っているサイト。ロゴにある上下のラインがサイトでは多様的にモーションしているのですが、サイトにおいてもバラエティに富んだ罫線たちが全体をドライブさせており、線ひとつでこんなに多様な表現ができるということに驚きます。この罫線コンセプトがサイトを他ならぬユニークな存在にしていますね。
罫線をメインモチーフにすること自体かなりのチャレンジなのではと思いつつも、この罫線という「ありふれたかたち」の中にも「多様なものが存在している」というところに着目したところがすごいと思います。クライアントワークの背景にある「文化的、時代性まで見渡す視点」もまたデザインのひとつ、と言われているような気がしました。
Client:JPASN(日本舞台芸術ネットワーク)様
Agency:PortPort Inc.
Direction, Writing:重松 佑(Shhh Inc.)
Art Direction, Design:宇都宮 勝晃(Shhh Inc.)
Logo Design:木下真彩、 宇都宮 勝晃(Shhh Inc.)
Development:坂田 一馬 (Good rings)
3. Vue Fes Japan 2025

このサイト、構造が不思議で面白いです。VIやイベントの情報を含めたメインビジュアルを固定で背景に配置。その上をマイクロサイトのように各種コンテンツが走っていきます。VI自体も、一文字固定で一文字がモーションで、バラエティに富んだカラーバリエーションが、多様的でグローバルな雰囲気を与える表現になっていますね。開発チームがVue.js Japanコミュニティメンバーとのことで、このサイトが醸し出す不思議な面白さは、ブランディングチームと技術チームのケミストリーから生まれているのかもしれませんね。
Client:Vue.js Japan Users Group
デザインストラテジー、ビジュアルアイデンティティ、ウェブサイト、SNSビジュアル、ネームタグ、映像、カンファレンス空間デザイン:IE3
実装:Vue.js Japan コミュニティメンバー
4. 山本写真機店

このサイトで印象的だったのが、サイト内で使用されている写真が「実際に現像やスキャンをご依頼いただいたお客様のもの」というところ。プロのカメラマンさんの写真ではなく、実際のお客様の写真を使用することで山本写真機店さんのサービスが純度高く鮮明に映し出され、「人とのつながり」を大事にしているお店の丁寧さも伝わってくる。そしてそこには「写真で、人と人をつないでいく。」という山本写真機店さんらしさが滲み出ていると思います。情報設計も明確になっており、FAQも充実。こちらは一年かけたお仕事だということで、ミトネデザインさんが丁寧に紡いでいった時間が形になっているとも感じました。
制作:mitone design.
Direction / Design:丸山享伸、濵﨑正太郎
Engineering:松山拓未
5. 夜.

サイト公開がポストされたのは、ひっそりと夜が深まった3:21。「夜.」という屋号にも、つけられたドットにも、デザイナーである横澤由香里さんやデザイナーたちにとって「夜」とはどういう世界なのか、を連想してしまうような余韻があります。
その余韻はサイトにも引き継がれていて、真っ暗な画面右下にお月さまだけが黄色く佇んでいて、月のかたちも変わっていきます。ホバーで表示される実績は、野外シネマを見ているかのような風情がありますね。
ポートフォリオにおいては、実績や技術をサイトで表現することとは別に、クリエイターが持つ「世界観」を伝えていくことも大切であり、そこにはデザイナーの物語があってもいいのだ、と感じさせてくれたサイトです。
制作:横澤由香里(夜.)
6. Daiki Fujita

粒子パーティクル&デジタルなマウスストーカーが合わさることで発生する感覚体験。そこには技術を見せるだけではなく「体験性」のアイディアがある。ウェブデザイン、UI/UX、3D、インタラクション、アニメーション領域まで横断するデザイナーさんのサイトで、「機能性と創造性を調和させた体験を設計している」とのこと。PROJECT詳細における”NEXT”へ遷移する際の手動ローディング的な機能も新鮮な体験感覚でした。
制作:Daiki Fujita @da32_kh
7. OUWN

画面下に羅列された実績の文字列を「タイムライン」と捉え、文字列の切り替わりに合わせて画面も切り替わるインターフェースが斬新。しかも、このタイムラインのスピードが「スクロール」によって変化していくんです。ローディングでは100%に至るまでに制作実績を「全部見せ」しています。サイト全体が「遊べるおもちゃ」になっていて、サイトのデザインのみならずインターフェースまで開発しているところがサイトを独自なものにしています。
制作:STAND FOUNDATION co.,ltd.
8. OWARI DIARY

SIRUPの3rdアルバム『OWARI DIARY』のティザーサイトをtote inc.さんが担当。OWARI DIARY=日記のようなアルバムということで、各楽曲を「日記の1ページ」と捉えたサイトになっています。「日記」というものが今の時代においてアナログなものであることから、ノートの切れ端、クリップ、ポラロイド、カセットテープなどのモチーフや、歌詞やコメントも手書きなど、アナログな手触りあるものをとことん使っていますね。ファンのことを考えてつくられているサイトだなあと感じます。404も見てしまいました。(tote inc.さんはBMSG FES’25のサイトもすごかったですね!)
制作:tote inc.
9. LENZ&Co.

独特な雰囲気のMV。「LENZ&Co.」=レンズであり(合ってますか?)、異視=異なる視点という会社のテーマがビジュアルとして視覚的に表現されています。ABOUTでも「レンズ」「異視」といった伝わりにくいものを図形とモーションでわかりやすく伝えていて、視覚的に理解がしやすいと感じました。PROJECTでのテキストの強調、スライド資料の展開、クライアントインタビューの統合など、コンテンツの充実度が印象に残りました。
Client LENZ株式会社(LENZ&Co.)
Branding
Genki Imamura / Brand Director (B&H)
Wataru Sakaki / Project Manager (B&H)
WEB
Chiharu Kodama / Art Director, Designer (ium inc.)
Hidetoshi Hara / Art Director, Designer (Sunny Inc.)
Taro Yoshimura / Developer (baqemono. Inc.)
Tomoyuki Nakata / Developer (baqemono. Inc.)
Shirabe Yoshizaki / CMS Developer (5ive Inc.)
Ryo Ikeda / Developer (devdev Inc.)
Portrait Shunsaku Hirai / Photographer (ica inc.)
Shinya Fukami / Hair&Make
10. poporpop

このサイトで印象的なのは、サイト全体の構成に「空間性」と「物語」があるところ。MVは雲の上で、飛翔するロゴのキャラクターと女の子。Serviceでは宇宙的空間の広がり。その空間が途切れたところで、フィギュアから想像をしている女の子だったということが分かるのですが、ここでイラストの横にある「そうぞうを、ふわっととびこえる」のコピーが強く活きてきます。企業ビジョンやコピーを「物語」を通じて伝える、そしてその「物語」を伝えるために全体構成が練られているサイトだと感じました。
クリエイティブディレクター:poporpop じわるちゃん(@74kcal)
ロゴデザイン:Kimiko(@kimiko_ooo_ )
サイトデザイン/イラスト/Studio実装:クックドゥードゥードゥー 大橋 絵里奈(@cddd_design)
写真撮影:霜自由(@simo_jiyuh)
おわりです!
2025年9月のまとめサイト、いかがでしたでしょうか。今月も、どのサイトも面白かったですね!
今回のサイトの中でいくつか印象的だったものをピックアップしてみますと、
・ありふれたかたちにも多様性があることを感じさせた「SOIL」。
・お客様にご依頼いただいた写真をサイトのコンテンツとして使用した「山本写真機店」。
・クリエイターが持つ世界観を伝えていた「夜.」。
・インターフェースからサイトを作り上げていく「OUWN」。
・物語を通じてサイト全体構成をつくりあげている「poporpop」。
などが印象に残りました。みなさんはどうでしたか?
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
また、来月お目にかかりましょう。風邪など引かぬよう、あたたかくしてくださいね。
iDIDメディア編集部でした!
