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情報過多の時代にこそ「想いがのったメディア」が必要だと思う。| LAND [GOTO-CHI CREATIVE!札幌編]

iDIDメディア編集部
iDIDメディア編集部
2026.11.06

久しぶりのご当地クリエイティブ、二度目の札幌!お話を聞くのは「グラフィックがカッコいい」「上半期サムネイル大賞」とSNSで話題になっていた札幌のカルチャーメディア「LAND」。編集長のパターンプランニング赤坂さんと、デザイン統括のNEW倉内さんにお話をお伺いしてきました。共同経営ではないけど席は隣同士、絶妙な距離感だからこそできる、二社のパートナーシップと方法論についてもお伺いしてきました。

お話を伺った方
  • 赤坂若菜 | Wakana Akasaka

    PATTERN PLANNING

  • 倉内法生 | Norio Kurauchi

    NEW

赤坂若菜 | Wakana Akasaka | PATTERN PLANNING - CEO
札幌市出身。女性向けのタウン情報誌の広告企画・制作・営業を経て、2014年PATTERN PLANNINGを設立。自社ブランドの事業づくりからクリエイティブディレクションまで手がけ、クライアントワークではビジネス視点とクリエイティブ思考の両軸を考えながら商品やサービスのブランディングを行う。
https://pattern-p.com/

倉内法生 | Norio Kurauchi | NEW inc. - CEO
大学卒業後、デザインプロダクション数社、広告代理店を経て「株式会社NEW」を設立。 インテリアデザイン・グラフィックデザイン・WEBデザイン・プロモーションなどをシームレスに一気通貫する事で強いブランドを作る事を得意とするブランディング会社。「見えるもの全てをデザイン」を掲げ、関わる人たちが豊かになる「新しく、ワクワクし、笑顔になる」現象を提供する。
https://new-design.jp/

1. 情報過多の時代に「想いがのったメディア」が必要だと感じていた

「LANDのデザイン」がすごいと、SNSで話題になっていたんです。札幌のメディアということでぜひ取材したく、今回ご連絡させていただきました!

赤坂:ありがとうございます!LANDは「いつものマチの、一歩先」をコンセプトに、札幌の面白い人・場所・文化を見つけ、編集し、つなぎ、新しいカルチャーをつくっていくメディアで、2025年1月にInstagramでスタートしました。ありがたいことに開始1年でフォロワー1.8万を突破しまして、2026年の2月にはウェブサイトを開設し、今はインスタとサイトの両軸で運用しています。

「LAND」はInstagramからスタートし、開始1年でフォロワーが1.8万(※2026年11月時点で2.3万)を突破。
2026年2月にはウェブサイトも開設した。
https://landsapporo.jp/

LANDはパターンプランニングとNEWの二社で運営されているんですよね。そもそも、お二人の会社は、同じオフィス内にあるのだとか。

赤坂:そうなんです。同じオフィスで、席も隣同士(笑)。社員の席も二社でごちゃまぜなんです。倉内さんとは日々いろいろな話をしていて、中でもよく話題に出ていたのが「メディアを作りたいね」という話でした。

倉内:それまでの札幌のメディアはグルメが主で、実際にはもっと面白いものがたくさんあってもそれがうまく伝わっていなかったんです。それでいつかそういう面白いものを発信できるメディアをやりたいね、と。

赤坂:そんな中で、たまたま入社したスタッフが「すごいかっこいいカルチャーメディアをやりたい」と言っていて、一緒じゃん!と。これはタイミングが来たなと、2024年秋から準備をして翌年1月にスタートしました。なので最終的なきっかけは人ですね。

LANDは、グルメだけではない「札幌の面白いもの」を伝えたい想いから生まれた。

それまでの札幌のメディアには課題感を感じていたと。

赤坂:今は広告、ウェブサイト、メディアに加えてAIもある中で「情報」が信用されにくくなっていて、見ている人も見透かしてしまいます。だからこそ、ただの情報ではなく「想いがのったメディア」が必要ではないか、と。

ただ、インフルエンサーと違ってメディアだと人格が薄くなりがちで、それだと単なる情報の羅列になってしまうので、LAND自体を「ひとりの人格」として、「自分たちがいいと思ったもの」しか発信しないメディア、というスタンスでやってみようと思ったんです。

「想いがのったメディア」でないと、というのは私たちもメディアとして実感しています。

赤坂:グルメ情報にしても、新しくてバズるようなお店ではなく、昔からある飲食店や喫茶店もあるのになかなか紹介されず閉店していく、といった流れを目の当たりにしていたので、「新旧混じり合いながらカルチャーを地続きにできるもの」にしたいと思っていました。

LANDのウェブメディアでは赤坂さんの「LANDをはじめた想い」も読めます。

倉内:NEWでは店舗設計とか空間のデザインもやってるんですが、古いものって作ろうと思っても嘘くさくなってしまうんです。そこで過ごしてきた時間とか時代とか、アナログが積み重なってできてきた「古さの良さ」みたいなものってなかなか人の手で作れるものじゃない。それを新しい切り口で見せたいな、と。

結果、グルメだけでなく多種多様なジャンルを横断したメディアになっていますね。

赤坂:「古着が好き」な人は「音楽も好き」だったり、好きなものってひとつのジャンルだけじゃないですよね。そこを横断的に発信しないと、結局分断された情報網になってしまいます。例えば「音楽フェス」に行く人は、音楽が好きだけど、多分アウトドアも好きで、古着も好きで、外飲みも好きかもしれない。となると、音楽やイベントという情報の中に「古着」「アウトドア」が入ってきてもいい。それらの「実は付帯するジャンル」を一括りにしたメディアにしていけたらと思ったんです。

なるほど。ライブイベントの情報をそのまま伝えるのではなく、現場で体験できるグルメやアウトドアに切り口をちょっとズラすわけですね。

赤坂:現に今年タイアップさせていただいた北海道の『ライジングサンロックフェスティバル』の企画に関しては、ライブの情報は一個も出してないんです。「周辺で興味を持ってもらえるコンテンツ」に特化して情報を出しています。

「フェス」と「遠足」をつなげた「日帰り遠足 | RISING SUN ROCK FESTIVAL」の記事

「自分ごとにできるメディア」にしたいとも考えていたそうですね。

赤坂:全国紙だと面白い人や行きたいお店があっても、地方からだとすぐには行けないし、会いに行けない。一方的に受け取る情報になってしまいます。でも、LANDでは札幌を起点に「近くで起こっている、手の届く範囲でできること」を取り上げているので、食べに行けるし、話を聞きに行ける。だから「いつものマチの、一歩先」なんです。読者が「LANDという世界」の中に住んでいるような感覚というか、今まで見えてこなかった札幌の街が見えてくるのではないかと思っていたんです。

2. LANDの企画とデザインは「自分たちが面白いかどうか」

SNSではサムネイルをはじめ、デザインへの反応が大きかったのですが、デザインについて意識したことはありますか。

倉内:デザインに関しては、ユニークであること、日頃から自分が面白いとおもっているものにフルベットして作っています。だからデザインもまず、自分の感性で「面白い」「かっこいい」とか、このビジュアルを見たらきっとみんなワクワクするはず、といった「気持ち」が最優先。

サムネイルも「ひとつも似たようなものがないぐらいがいい」という気持ちで作っているので、「サムネイル大賞」って言ってもらえるのはヨシ!って感じで嬉しいですね(笑)。気をつけてるのは、「かっこつけすぎない」こと。かっこつけていると見てる側も興ざめしたり、距離感が出てしまう。「かっこつけない」こともLANDの人格なので、札幌だから会える、いい距離感のメディア、という人格をデザインに落とし込もうと常に考えています。

全てのデザインが違う、LANDのサムネイル。
SNSでは「上半期サムネイル大賞」との投稿も。

それぞれ、デザイン面で気に入っているところはありますか。

倉内:僕は「イイ顔建築」ですね。NEWに建築をやっていたスタッフがいて、彼のマニアックぶりが面白いことから始まった企画です。ただの建築紹介だと堅いので、あえてちょっとポップな書体にして、色も親しみやすくしました。企画性とデザインのギャップが好きですね。

「イイ顔建築」というタイトルも、僕自身言葉が好きなので、隣にいる赤坂さんに「こういう企画どう思う?」「いいね!」「タイトルこういうの面白いと思うんだけど、どう?」といった感じで、ディスカッションしながら決めていきました。

札幌の建築物を紹介する企画「イイ顔建築」。
NEWの設計チームに建築マニアなスタッフがいることから始まった。

赤坂さんはいかがですか。

赤坂:「イイ顔建築」もそうなのですが、NEWのグラフィックチームのメンバーが企画の「タイトルロゴ」を毎回作ってくれているんです。サイトに企画のロゴ一覧が流れている箇所があって、ここが好き。やっぱり「企画の切り口」が差別化ポイントでもあるので、そこがアイコン的に見えてくることでメディア特性が見えやすくなるし、このロゴだけを見てても楽しさが伝わってきますね。

LANDの企画のロゴ一覧。
全ての企画がロゴになり並んでいる様子は圧巻。

LANDは企画の切り口もまた独創的で面白いですよね。

赤坂:自分たちが感じた「面白い」とか「面白いのにもったいない」といった感情が企画の種になります。例えば「パイセンの行きつけについて行く」ですが、もともとLANDのターゲットは「20〜30代、ときどき40代」で、若い人にみてほしいメディアなんですね。

それが、スタートから半年経った頃に「40歳以上はターゲットじゃないのですか」という声が多くなり、そのとき考えた切り口が「40代以上を『人生の先輩』と捉えてみる」ということ。あくまで若者ターゲットでありつつ、「先輩からお店を教えてもらう」形にすることで、40代以上でもコンテンツに参加できる。若者と先輩たちがつながっていく流れができて、いい形で世代間の融合ができました。

世代を超えてカルチャーを伝える企画「パイセンの行きつけ」。

赤坂:あと、もうひとつ気に入っている企画が「狸の一歩」です。狸小路って、札幌のど真ん中にあって誰もが知っている場所なんですが、屋根のある1丁目〜7丁目に対して、8丁目から先は「屋根のない狸小路」なんて言われたりもするんです。そこには新旧いろいろなお店があって、知っているけど入りづらいお店や、細い階段をあがった2階にあって存在にも気づかないお店もあるんです。そんな、まだまだ知られていない狸小路に「一歩」踏み込むきっかけになれたらと思って始めた企画です。

誰も存在を知らないようなディープなお店に一歩踏み込んでいく「狸の一歩」。筆者も一度訪れてみたいものだ。

懐かしい雰囲気のお店が多いので、撮影もあえてフィルムで行っていて、編集部の誰かがお店に入っていくシーンを撮るようにしています。みんなを代表して入ってみた、という感覚になってもらえると、読んだ人も行きやすくなるし、古くからやっているお店の方にもLANDを知ってもらえるきっかけになるんです。ちなみに、アポはだいたい取らずに突撃しています(笑)。

左から「夏だ!外飲みしよう」「飛行機で行かない海外旅行」「雨の日の正解」「日帰り遠足」。
どれも「飲み」「海外旅行」「ショッピング」「アウトドア」を少しずらすことで魅力的な企画になっている。

3. 開設一年でフォロワー1.8万。「札幌の地元愛」を育むメディアを目指す

LANDはその後、開設一年で1.8万、一年半で2.3万フォロワーと、初期目標を大きく達成しました。ここまで求められるメディアになった理由をどうお考えになりますか。

赤坂:理由としては「メディアに共感してくれたこと」が大きかったのではないかと思います。手に届く距離感の「いいもの」を見える化したことで、札幌という街への共感と、継続的に運用してきたことでのメディアへの信頼も育んでいけたのかな、と。「LANDの話題が出たよ」とか「いつも見てます」と言ってくれる人が増えてきていて、応援したくなる気持ちを持ってもらえているのかな、と感じています。

倉内:僕たちの考えるブランディングは、ものを真正面ではなく「違う切り口」で見せること。LANDでいう「札幌」も違う角度で切ることによって、興味がなかった人たちに興味を持ってもらうことができたのかなと。あとはやっぱり、自分たちが「本当にいいと思うもの」や「好きなもの」だけをちゃんと愛を持って素直に出すことですね。そういうメディアの正直さが見ている人に伝わり、そこが応援してくれる一つの理由になっているかなと。

赤坂:あとは「いつものマチの、一歩先」を、押し付けがましくなく提案するのがLANDの役目だと思っているので、自分たちがまず楽しんで、取材や撮影をする。その雰囲気も漏れるように演出していく。楽しそうだな、わたしもやってみようかな、という感じで、LANDに吸い込まれていくような感覚にもなってもらえているのではと思います。

「わたしもやってみようかな」というのは、まさに「距離感」ですよね。

赤坂:札幌って200万人都市で、人口は東京より少ないけど、北海道内の各地域と比べると大きい場所なんですね。「街のブランディング」という観点でも、いい街なのに、適度なサイズ感、距離感のためか「地元愛」や「街への愛着」が醸成しづらいところがあると思うんです。

だからこそ、札幌への「地元愛」を育めるプラットフォームになっていったらいいなと思うんです。「北海道」ではなく「札幌」のカルチャーマガジン」にしたのはそういう理由もありました。

2026年の2月にはウェブサイトを開設、4月にはポッドキャストも開始しました。その名も『金髪とキャップ』。

赤坂:『金髪とキャップ』は、「ココノススキノ」という商業施設の公開収録できるスタジオで「番組を持ちませんか?」というお話をいただき、月1回ならできそうだし、楽しそう!と思って。

誰に出演してもらおう?と考えた時に、ちょうど大阪からのUターンで入社を予定していた堀口(金髪)が札幌に対してまっさらな状態だったので、LANDのメイン担当だった窪田さん(キャップ)とタッグを組んでもらおうと、ふたりの象徴だった『金髪とキャップ』という名前にしました。かっこつけすぎず、みんなが愛称として呼べるようなものがいいなと思っていたので、これも本当に思いつきです(笑)。

倉内:そうそう、『金髪とキャップ』も、赤坂さんと「二人だったら、金髪とキャップが面白いよね?」「だったら、ビジュアルはこれだね」みたいに、遊びながら考えていきましたね。

2026年4月には『金髪とキャップ』ポッドキャストを開始。毎月一回更新している。

マネタイズ面についてもお聞きしたいのですが、企業側からLANDに依頼がくる場合は、どういうケースが多いですか。

赤坂:インスタに2.3万のフォロワーさんがいるので、札幌エリアで情報を早く伝えたいときの「情報の届きやすさ」にメリットを感じてくれています。また、ここ一年ぐらいで大手メーカーさんやイベントなどから「LANDの切り口で紹介してほしい」「クリエイティブと企画もLANDにお任せしたい」といったタイアップ記事のご相談が増えてきました。

例えば『ライジングサンロックフェスティバル』は、チケットぴあさんとイベンターのウェスさんとの三社合同タイアップ企画です。昔だったらライブ情報を『チケットぴあ』などの雑誌に掲載すればよかったものが、今だとどこに掲載すればいいかが分からない。そこで「LANDだったら興味を持っている人たちがいるはず」ということでいただいたお話でした。テレビ離れなどもある中で「若者たちにもっと北海道のフェスを楽しんでほしい」という強い想いから実現した企画です。

LANDの公式サポーター30名への、RSRへのアンケートや、初心者のためのRSR広報担当の方への一問一答などの記事を展開。

赤坂:『札幌国際芸術祭』の場合は、「国際的なアートに触れられる機会なので多くの方に親しんでほしい反面、少しハードルを高く感じている方も多いのでは」という課題面含めてご相談いただきました。実際のところ札幌の人たちがどう感じているのか、LANDを応援してくれている「LANDサポーター」にアンケートをとって、その回答から企画を考えたり、お客さんが気づいていない魅力を発見したりと、「違う観点からのクリエイティブ」に価値を感じてくれています。

「札幌国際芸術祭」の記事。LANDサポーター30名にアートについて調査した。

LANDには応援してくれているサポーターがいるんですね!

赤坂:LANDサポーターは、編集部のサポートメンバー募集で応募してくれた、もともとLANDを応援してくれていた人たちで、現在134名います。アンケートに協力してもらったり、取材に同行して体験をしてもらったり、本当に「LANDが好き」という気持ちだけで手伝ってくれています。だからある意味バイアスもかかっていません。そういうサポーターたちに企画を一緒に考えてもらったり、LANDを支えてもらっています。

「大丸札幌店のデパートコスメみんなで試してみた」では、
メイクアップアーティストとコスメ好きのLANDサポーターが参加した。

私たちも悩ましいと感じていることなんですが、「いいものをつくること」と「マネタイズ」ってどうしても両立しづらいところがありますよね。

赤坂:やっぱり、タイアップを含めても収益をもっと増やしていくことは大前提ですね。手触り感のある企画を大切にしているので、純広告の掲載は受け付けておらず、マネタイズするにあたっての効率は全然良くないです(笑)。どうしても、SNSとサイトへの広告掲載だけだと事業的に限界がある。

私たちとしても、もっと「いいもの」を正直に使って生きていきたい。なので、そういった「気持ち」をプラットフォーム化するようなものをビジネスにしていきたいです。タイアップ企画に関しては、「面白さ」や「発見」、そして「企画を通じて幸せになる人が多いか」といった観点で、ご一緒できる企業さんとやっていきたいと思っています。

倉内:あとはLANDへの掲載に加えてクリエイティブも、といった感じで、ブランディングと抱き合わせの受注というケースもあります。これまでやってきた事業とメディアの相乗効果として、事業収益につなげていく面も見据えながらやっていけると良いかなと思っています。

LANDの運営に関わるクリエイター一覧。総勢17名が制作に関わっている。

クライアントワークと自社事業を両方やっていると悩ましいのが、自社事業がおそろかになるケースですよね。LANDではそのあたり、どのように意識されていますか?

赤坂:私たちも自社事業ではそのあたりが悩みどころだったんですが、LANDに関しては、短期集中型で、事業ベースで成立させたいという想いがあったので、メイン担当の窪田さんにほぼ専任でやってもらいました。ちなみに「メディアをやりたい」と言ってくれたのが彼女です。

最初から収益化していくより、まず「信頼」を作らないとメディア自体意味がないものになってしまうと感じたので、一年間でインスタグラムのフォロワーを一万を超える、という目標だけを設定して、窪田さんにはその目標と「とにかくいいメディアにすることにコミットしてほしい」と。彼女はその目標達成のための、気持ちの部分から運用フローやプロセスの設計など、仕組みを整えていってくれました。これが大きかったと思います。今、彼女は転職してしまったのですが、今でも『金髪とキャップ』をはじめ、いろいろな形でLANDを手伝ってくれているんです。

4. メディアが若手クリエイターとチャレンジできる場所に

LANDにはいろいろなクリエイターが関わっていますが、LANDという場所がクリエイターにいい作用をもたらしていることはありますか。

赤坂:LANDをきっかけにして、私たち自身、若手クリエイターとのつながりがとても増えました。ブランディング案件のクライアントワークだと、チャレンジングなことが難しい時でも、LANDでクリエイターと一緒にいろんなチャレンジをしながら、関係を築いていくことができるようになりました。

特に動画については、インフルエンサー系でもない、シネマティック系でもない、説明動画でもないような「おしゃれな雰囲気で、良さを感じてもらえるような企画の切り口とクリエイティブをセットで考えてほしい」というご依頼がとても増えました。クリエイターのみなさんにとっても、LANDの仕事がポートフォリオになり、LANDをやっているならということで信頼してもらえるようなことも増えているようで、お互いにとっていい形を模索しています。

LANDではInstagramのリール動画など、動画クリエイターがチャレンジできる場もある。

札幌のクリエイターはどのように勉強したり、横のつながりを作ったり、案件を獲得していると思われますか。

倉内:映像系のクリエイターに関しては複数名で動くお仕事が多いため、ひとりではどうしても案件をとりづらい環境にいると思います。流入動線としては、Instagramや紹介が多いと思います。カメラ(スチール・動画ともに)は、アシスタントで入って勉強している人が多いと思います。

また、デザイナーの場合は、突然の独立だとすぐに仕事を見つけたり、いろんな人とつながっていくことがなかなか難しいです。だからこそ、LANDを軸にクリエイターがつながり、おもしろいチャレンジを続け、私たちと一緒にクライアントワークも行いながら実績を積み、そこから新たな案件のお問い合わせをいただくというような流れになったらいいなと思っています。

あとは、私たち自身、クリエイティブスナック+glass、クリエイタートークイベントLEAKなど、札幌でおなじ職種ではないけれど、クリエイターの人が集まって交流することで新しい関係性が生まれるような場づくりもしています。

月二回開催のクリエイティブスナック「+glass」と、2026年に開催スタートしたクリエイタートークイベント「LEAK」。
クリエイターが交流できる場所を作っている。

5.「法人は別だけど、仕事と価値観はシェア」二社のユニークな関係性

お聞きしていて面白いのが、二社の関係性です。別法人で事業内容も違うわけですが、事務所も仕事もシェアして、席も隣同士で密にコミュニケーションを取る。とても珍しいですよね。

倉内:僕たちは最初からこうやって一緒にやろうと思ってなったわけではなくて、その都度いいと思った方向を選んできただけなんです。赤坂さんとも最初から一緒にやろうと思ったわけじゃなくて、たまたま「お互いの持っている武器」がお互いを補完し合えることに同じタイミングで気づいて。

僕たちは会社も違うし、お互いやっていることも全然違うんですが、それぞれが自分の会社に責任を持ってやっています。それでも、とても近い距離でやることで、ほかの会社ではできないようなことができると思っているんです。

赤坂:ディスカッションは多いです。隣の席なので、いつもずーっと壁打ちしてます。話しては作って、を繰り返しているので、なんというか「脳が二つある」感じですね。いい意味で分業しすぎてないところがいいんです。

あと、私たちの場合、言葉がパターンプランニングで、デザインはNEW、ということでもないんです。パターンプランニングもデザインのことを考えるし、逆にNEWも「このデザインなら、こういう言葉がいいかも」とか、「分業しすぎずに、プロジェクト全体を俯瞰して、みんなで考える」みたいな感じでやっているんです。そこを完全に分けてないからこそ、みんなで作れる。そう思っています。

別法人のまま一緒にやることのメリットとは何でしょうか?

赤坂:一番のメリットは「切磋琢磨できる関係性である」ということですね。お互い一番の協力関係にありながら一番刺激をもらえる存在でもある。互いの「得意分野」や「価値観」はいい意味でも違うわけですが、ライバル視というよりも「尊敬」の上になりたつ刺激がいつもあります。そして、お互いの会社が成長していくための投資感覚が互いにあることで、目先の利益がすぐに見えなくとも、自分の判断で事業への投資なども迅速に行なっていくことができる。これもメリットだと思います。

スタッフにおいても「チームだけど別会社である」という関係性の中で、ひとつのプロジェクトを実行する環境であることから、お金の流れや依頼の仕方、各社がよくなっていくためのことを考えることが当たり前の環境としてあるので、多様な考え方などが生まれやすくなっているように思います。

最後に、お二人が今後目指したいところをお聞きできますでしょうか。

倉内:先ほどもお話ししたように、お互いやっている内容は全然違うんですが、目指すところは一緒です。「持つ武器もたどる過程も違うけど、目標は同じ」という人たちが一緒になったら、他の誰にも負けない強いものが作れるはずだと思っています。

だから、LANDもあれだけのスピード感であれだけの物量を出していける。通常なら、同じようなことをやってみるにしてもどうしてもお金の問題が最初に立ち上がるし、デザインにしても、巨額のお金が発生する。その点、僕たちはクライアントワークも同じシステムでやっているので、破綻することもなく、参入障壁を高くしていける。このままLANDが独自性を持ったまま新しい進化をしていけたらいいなと思ってます。

赤坂:クリエイティブ業界で働く人たちって、いいものを作りたい気持ちとか、誰かを良くしたいとか、「人間性」があるからこの業界を選ぶんだと思うんです。そういったモノを生み出したい人たちの気持ちが消耗戦にならないような、人間らしさ。人間こそが持つ「いいものを生み出したい」エネルギーが最大化できるような会社になるといいなと思っています。

その手段として、デザイン、言葉、またはメディアがあるわけですが、事業の軸はどこまでいっても、人間の「良くしたい」力を最大化することをメイン事業にしたい。それは、パターンプランニングもNEWも同じ気持ちかな、と思っています。

PATTERN PLANNING&NEW。最新のメンバー集合写真

Credits

Text, Edit:仲村直(iDIDメディア編集部)

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